pioneer plantsを、末永くご愛用いただくために。
信州伊那谷のアカマツを使った無垢の家具、pioneer plants。(※2024年9月30日現在リニューアルしておりアカマツに加え、クリ、クルミの3種類からお選びいただけます。この記事は一部アカマツに特化した内容となっています)
今回は、無垢の家具を皆さんの暮らしに取り入れていただくために、心に留めておいてほしいことを記事にしました。木は生き物です。1本1本表情に違いがあるし、それぞれに魅力的な個性があります。この記事を読んで、木の個性を知って、「暮らしの中に、木を取り入れたい!!」と今まで以上に感じてもらえたら嬉しいです。
「樹木」から「家具」へ。
その土地に何十年と根を張り、大地を支え、ゆっくりゆっくりと成長をしてきた木。晴れの日も、雨の日も、嵐の時も、じっとその土地を見守ってきました。
木の年輪を見ると、どんな環境で育ってきたのかを読み解くことができるって、皆さん知っていましたか?
均等に円が広がっているものもあれば、左右どちらかに傾いているもの、年輪がものすごく細かいものなど、年輪ひとつとっても、色んな個性があります。
例えば、山の斜面にアカマツが生えていた場合、谷側の年輪幅が広くなります。これは、木が重力に対して真っすぐ垂直に伸びようと、谷側に筋肉を付けるからです。この筋肉を専門用語で「あて」と呼んでいます。広葉樹の場合は、これが山側になります。不思議ですよね。
また、風が強く吹く場所だと、四方八方に幹を揺らすため、繊維が捻じれている木が多いと言われています。木は、じっくりゆっくり、その土地と環境に身体を適応させていきます。だから、1本1本違いがあって、個性が出るのです。
そして、長い年月を経て大きく育った木は、私たちの暮らしの中で使うために、木こりが収穫をします。
その木を、製材所で板や柱などに挽いて。
そして、その木を木工職人が1つ1つ丁寧に加工して、家具として私たちの暮らしに届きます。
今、お手元にある家具の木は、ほんの少し前まで、伊那谷の大地に根を張り、青々とした葉っぱを茂らせていた「樹木」だったということを、ぜひ心の片隅に置いていただけると嬉しいです。
「アカマツ」とは?
ではここで、アカマツについて綴っていきたいと思います。アカマツとは、「松ぼっくり」をつける木です。松竹梅の1つで、1年を通して葉っぱを茂らせていることから、長寿の象徴として、昔から人々に親しまれてきました。その他にも、色んな特徴を持っています。
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① 1年で1節ずつ伸びる
アカマツは、1年で1節ずつ成長をしていきます。なので、幹から出ている枝の数と枝が生えていた跡(節)を数えると、木の年齢が分かります。また、節と節の間は無節材を取ることができるため、「経木」として使われています。その他にも、アカマツ特有の曲がりを活かして、家の梁にも使われていました。
② ヤニが多い
ヤニとは、木が自分の身体を守るために出す分泌液のこと。木の幹などに傷が付くと、その傷を治すためにヤニを出します。特にアカマツは、他の樹木に比べて身体の中にたくさんのヤニを蓄えています。アカマツを伐ったばかりの切り株や、折れた枝の切り口を触ると少しべたっとしているのは、ヤニが出ているから。このヤニは、「松ヤニ」と呼ばれ、野球のバットやバレエのトウシューズの「すべり止め」として使われています。
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私たちは、色んな個性を持っているこのアカマツを最大限に活かすべく、「木取り」をします(※製材をした板を使うパーツごとに切り分ける作業のこと)。そのため、年輪の目立つツヤがある板を使っているところもあれば、年輪があまり目立たない白っぽい部分も使っています。なので、1つ1つ家具の雰囲気が違います。木の個性を活かしたものづくりを、ぜひ感じ取っていただけたら、嬉しく思います。
味わいのある、木の経年変化
ここからは、pioneer plantsを末永く使っていただくに当たって、心に留めておいてほしい事をお伝えします。日頃から木と向き合っている私たちにとってはどれも当たり前のことなのですが、初めて無垢の家具を選んでくださった方は、少し驚かれるかもしれません。だけど、前章でも綴った通り、木は生き物です。1本1本違いがあって、個性があります。なので、木の家具を選んでくださった方には、ぜひ知ってほしい内容です。
1つ目。木は呼吸をしているので、家具になったあとも、部屋の温度や湿度によって膨張と収縮を繰り返します。そのため、お使いいただく環境によっては、木が反ってしまったり、ねじれたりする可能性があります。また、その過程で小さな割れが入ることもあります。もし、お客さまの元へ届いたpioneer plantsに気になる不具合等が生じましたら、ご一報ください。お話を伺い、必要であれば実際に家具を見ながら修理が必要か否か、診断をさせていただきます。
2つ目。アカマツの材は、透き通るように白くてきれいな色をしていますが、使い込むごとに飴色の艶を帯びてきます。ぜひ、長い時間をかけて、自分だけの味わいのある色に育ててみてください。家具と一緒に同じ時を歩みつつ、木の経年変化も楽しんでもらえたら嬉しいです。
3つ目は、オイルについて。本製品は化学物質を一切含んでいない、自然系オイル塗料を使って塗装をしています。このオイルの最大の特徴は、「木の呼吸」を妨げないところ。末永く使っていただくために、メンテナンスのしやすい塗料を選びました。
pioneer plantsのお手入れについて
では、実際にシミが付いたり、汚れてしまった場合のお手入れの仕方についてお伝えします。その場合は、シミが付いた部位を紙やすりでやさしく削ってあげてください。#240~#320くらいの粗さがおすすめです。そうすると徐々に汚れが落ちてくるので、最後に植物性オイル塗料(ホームセンターなどで販売されているミツロウワックスなど)を塗ってあげたら完成です。
また、日々のメンテナンスとして、時々しっかりと絞った濡れ布巾で家具全体を軽く拭いてあげてください。そして、年に1回程度、家具全体にオイルを薄く塗っていただくと、より末永く使っていただくことができます。
さいごに
伊那谷を長年見守ってきたアカマツ。この木に、家具として新しい命を吹き込みたい。豊かな森づくりにつながる家具をつくりたいという想いから、pioneer plantsは生まれました。
ぜひ、この家具を持って森へ出かけてみてください。そして、ほんの少し、地域の森に想いを馳せていただけたら幸いです。
pioneer plantsを通して、皆さんの暮らしがいつもより少し豊かになる、そんなお手伝いが出来たら、嬉しく思います。
- 参考サイト
・長野県林業総合センター web
https://www.pref.nagano.lg.jp/ringyosogo/joho/kids/nenrin.html